橋戸稲荷神社長八の鏝絵

橋戸稲荷神社(伊豆の長八鏝絵)

橋戸稲荷神社(千住橋戸町25)

橋戸稲荷神社

祭神・倉稲魂命 延長四年(926)創建 本殿は延徳二年(1490)、拝殿は文久二年(1862)建立。現在の本殿は昭和57年に区有形文化財に登録されている土蔵造り(区内

唯一)のもの。屋根も珍しい八棟造りである。拝殿向背の中備に「三条の小鍛冶」の彫刻がある。舟運の発達とともに船大工や鍛冶屋が多く存在した。この付近は川の氾濫が多いため社殿は水塚(盛り土をした土地)となっている。橋戸町の旧家には昭和初期まで納屋に小船が常時吊り下げられていて、出水時に近所の家作へ炊き出しや救助など出水時には重要な役割を担っていた。

 

本殿壁面には洪水痕跡が見ることができる。扉を開くと左右に狐の鏝絵があらわれる。鏝絵(こてえ)とは漆喰で作られたレリーフ状の工芸画である。伊豆で生まれた入江長八、通称、伊豆の長八(文化十年・1815~明治二十二年・1889)は、志を抱いて江戸に出るや左官の技をきわめ、絵を谷文晁の高弟、狩野派の喜多武清に学び彩色法を考案し、芸術の域にまで高めて名人といわれた。長八の作品は橋戸稲荷神社のほか、千住の旧家に「潮汲みの図」と「遊女の図」があり、足立区の文化財となっている。また出身地の静岡県松崎町には、浄感寺「長八記念館」と「伊豆の長八美術館」があり多数の作品が展示されている。

伊豆の長八「鏝絵」は、年3回ご開帳し2月3日、5月15日、9月秋祭り前後の日曜日に見ることができる